研究概要 |
・本年度は,確率積分による表現定理における被積分関数のマリアヴァン解析による表示式を与えるクラーク・オコーンの公式の構築のためにピン留め条件下で確率微分方程式の解の研究,およびピン留めウィナー測度に基づく積分の厳密表現の研究を行った. ・ピン留め条件を持つ確率微分方程式の解の定める確率流の終端時間における退化現象を記述すべく,そのヤコビ行列の挙動について調べた.ガウス型の確率微分方程式の場合には,クラーク・オコーンの公式を議論するために必要な退化の起きることを発見した.この結果は論文にまとめるべく,現在整理中である. ・ピン留めウィナー測度の下での2次ウィナー汎関数の特性関数の値の厳密な表現式を構築した.この結果は,それに従う確率振動積分の漸近挙動の問題と一つに論文にまとめ,発表した.現在,印刷中である. ・上述論文の結果について,フランス,ナンシー大学で開かれた国際研究集会「幾何学と確率論」において講演し,さらにその前後にパリでマリアヴァン教授のレビューを受けた.これにより,ピン留めウィナー測度の下での確率解析,マリアヴァン解析の応用についての知見を広めた.これらの結果を踏まえ,現在研究を継続している.
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