1.有機物半導体サンプルの半導体としての性質を確認するために電気的特性の測定を行った。電解重合によって作った有機物半導体サンプルに電極を取り付け、その電圧電流特性を測り、電導率を求めた。電導率の値として10^<-4>〜10^<-6>S/cmというオーダーの半導体を作ることができた。また、暗電流の温度依存性の測定から、これらのサンプルが半導体的(温度の上昇とともに電流が増加)であることを確認した。 2.半導体サンプルの電導率の最適化やセンサー構造の改良等を行って、より性能の良いセンサーを作った。オシロスコープでの信号の観測から、単一半導体に電極をつけた形のセンサーの場合は、電導率が10^<-4>〜10^<-6>S/cm位の値のものが最も信号のS/N比が良いことが分かった。これよりも電導率が高いと暗電流が増えてノイズが大きくなり、また低いとキャリヤーの移動度が小さすぎて信号が小さくなってしまう。 3.有機物半導体センサーに高利得の増幅器をつなぐとともにバイアス電圧をかけて、各種強度、各種波長のレーザー光を照射した。このとき、レーザー光が当たった所に発生するキャリヤー電荷は、バイアス電圧によって集められ、その信号は増幅器で増幅された後に、ADC(アナログ・デジタル変換器)に入力され、オンライン・データ取得システムによって、数値としてパーソナルコンピューターに読み込まれた。得られたデータを解析して、波高、S/N比などの量を求めた。ポリチオフェンのセンサーの場合で、電極間隔が5mmの場合はバイアス電圧が約300V以上でプラトーが現れることが分かった。 4.レーザー光に対する有機物半導体センサーからの出力信号を捕らえることはできたが、その信号の大きさはレーザーの波長が532nmの場合で、市販のPINフォトダイオードに比べて約10^<-5>倍であることが分かった。この感度では、放射線一個を捕らえることは不可能である。センサーの性能をより向上させる必要がある。
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