本研究は新しいマルチピクセル型光検出素子EB-CCD(Electron Bombardment CCD)の素粒子実験用粒子検出器への応用に向けた研究を行うものである。本年度の研究内容は以下の通りである。 浜松ホトニクス社のEB-CCD(N7220MOD)について、温度コントロールのできる恒温槽や青色LEDを用いたパルス光源などを用いて基本特性の性能評価を行った。 ・暗電流の絶対値、ばらつきの温度依存性。 ・パルス光に対する応答信号の線形性。 ・増幅率の高電圧に対する依存性。 その結果、1〜5℃の低温でEB-CCDを動作させることで、ノイズを約2光電子相当のレベルまで下げることに成功した。この段階で、反応事象の頻度が低い実験で使用し、比較的大きな光量が得られる測定器には十分利用可能であることがわかった。しかし、まだ単光子検出のレベルには至っておらず、CCDの読み出し速度も十分ではない。今後更に研究を続け、 ・より低温での動作させることでで暗電流を小さくする。 ・読み出しの高速化で高頻度の実験に利用できるようにするとともに、暗電流の寄与を小さくする。 などの改良を行うことで、より広範な素粒子実験に利用することが可能になると考える。
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