研究課題
本研究の目的は、高計数率で動作し1ミリ以下のレベルの位置分解能を持つ次世代型中性子画像検出器として、冷中性子領域で十分な感度を持つと考えられるシンチレータGd_2SiO_5:Ce(GSO)の冷中性子に対する特性を実験的に求めることにある。実験は500μmの厚みのGSO結晶に日本原子力研究所の波長6Åの冷中性子ビームを入射させて行った。生じる発光を光電子増倍管で捕らえることによってパルス波高分布を計測するとともに、イメージインテシファイアを用いて位置分解能を計測した。パルスの時問幅は60nsで高計数率動作が可能である。冷中性子によって発生する内部転換電子に伴う発光ピークを波高分布の中で明確に捕らえることに成功し、γ線と分離することが可能であることが立証された。また位置分解能はFWHMで1.3mmと求められた。この中性子検出位置の広がりの原因は、GSOの厚みが500μmと必要以上に厚いことによる。中性子に対する感度を保つためには数10μmあれば充分である。この不必要な厚みによってシンチレーション光がGSO内部で拡散することによって位置分解能が悪化していることが解析の結果明かとなった。その結果、100μm程度以下の厚みのGSO結晶を用いることによって位置分解能を100μm以下に改善させることが可能であることが示された。また薄いGSO結晶を用いることによって、γ線に対する感度を大きく低減させることが可能で、実用可能な実時間型高計数率の精細な中性子画像検出器が構成できることが明かとなった。
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