研究課題/領域番号 |
11874060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深尾 良夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10022708)
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研究分担者 |
新谷 昌人 東京大学, 地震研究所, 助手 (30272503)
山田 功夫 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022670)
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キーワード | レーザー干渉計 / 歪測定 / 地殻変動 / 地球自由振動 / 伸縮計 / せん断歪 |
研究概要 |
研究計画に基づいて、名大犬山観測所での装置の設備準備および地震研での実験を並行して行った。 ・犬山観測所での装置の設置準備 11年春に地震研で開発してきた波長安定化レーザーを犬山観測所に移設した。地震研では波長安定度は10s以上の時間スケールにおいて2*10^{-13}以下であることがわかっている。これは、地球自由振動の帯域を包括しているので、このレーザーを用いれば2*10^{-13}の精度のひずみ観測能力があることを意味する。レーザーは半導体レーザー励起倍波YAGレーザーで高い信頼性があり安定度も良いが、ひずみ計に使われるのはこれが初めてである。レーザー光は光ファイバーで干渉計に導入される。 11年10月は直交干渉計用の真空容器の製作を行った。これまで名古屋大と共同で開発してきた基線長10mの伸縮ひずみ用干渉計の容器に付加して直交化できるような形状とした。最終的な形は直線型と直交型の二つの干渉計が収められ、伸縮ひずみとせん断ひずみが同時に検出できる。 犬山観測所では装置を設置するための基礎工事を行い、基台の石を10m間隔で設置した。ひずみを精度良くとらえるため、そして設置後のドリフトを抑えるため、花崗岩の台石を岩盤上に直置きして固定した。床のひずみが影響しないように縁切りもした。約10m離れた2つの台石間で高低差は約3mm、共通軸腺からのずれは1mm以内である。これは干渉計本体の微調整で解消できる範囲に収まるため、台石の設置は当初の設計通りに行われたといえる。この基台上に真空容器を固定し、基線長10mの干渉計を構築する。 ・地震研における実験 干渉計の特性を測定した。主に問題になりそうな偏光特性について、光ファイバー透過時の複屈折の効果およびコーナーキューブ反射時の偏光変化量について測定した。前者は数%の変動が認められたが、干渉計の直前に偏光フィルターをほどこすことにより回避できることがわかった。後者は全反射型ではなく中空型コーナーキューブを用いれば無視できる程度の偏光変化しか生じないことがわかり、このタイプを採用することにした。 1mの基線長の干渉計を実験室で製作した。これは実際に用いられる10m干渉計のミニチュア版であるが、レーザー光を光ファイバーで導入して干渉計も実際のものとまったく同じ構成をとった。干渉効率を表すvisibilityは約70%で、偏光2成分の信号が十分な強度で検出されることがわかった。ただし、振動や温度変化の大きい実験室環境では雑音レベルの評価は十分に行えなかった。これは犬山観測所に干渉計を組み立ててから行うこととした。
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