積雲による励起の周波数特性の数値流体モデルによる検討 雲物理過程など種々の非線形過程を含む積雲対流の数値モデルによって、積雲中での励起源の時空間構造を直接計算し、その周波数特性を調べた。その結果、周期が数時間から数十秒という広い範囲で、各高度での加熱率のパワースペクトル密度(PSD)は周波数の2乗に、また、雲全体としては3乗に反比例することがわかった。この周波数特性を用いて、持続的励起の加速度PSDを見積もってみると、3mHz前後での自由振動について10e-18[gal^<**>2/Hz]程度が得られる。この結果は、観測されるPSDと対応するものである。 応答の実空間での構造 これまで用いてきた計算(水平構造を波形と仮定してきた)の結果を逆フーリエ変換し、熱源応答の実空間での水平構造を求めた。その結果、地球自由振動を励起する周波数を持ち空間的に局在した熱源等に対する大気の応答は、ラム波など固体地球振動を励起しない成分を除けば、地表面から大気上層までの全高度範囲で、励起源から1000km程度の範囲に集中することがわかった。このことは、積雲が地球に与える圧力の周波数特性を決める大気構造が、地球全体の平均ではなく、その雲の周囲の局所的な大気構造であることを示唆する。これは、観測される振幅の日変化や季節変化の存在と調和的である。 今後、この研究の予言と観測とを詳細に比較すれば、積雲以外の励起源(たとえば海洋)の相対的な重要性についても判断できるかもしれない。
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