現在ボロンシリケイト系のガラス(すなわちパイレックスガラスの類い)が核廃棄物処理後容器の本命として我が国では考えられている。しかしながら、地球化学的に見てボロンシリケイト系ガラスの超長期的な安全性が十分に立証されたとは言いがたい。化学ポテンシャル勾配に基づく元素移動一つを取っても、自然界で濃度の著しく低いボロンを主成分としたガラスが地殻内部で安定な物質とは考えがたい。更に自然界でボロンは水溶液への親和性の特に高い元素である事が知られており、地下水の浸透した場でボロンシリケイト系ガラスから多量の核廃棄物を含む元素が溶脱を起こさない保証はない。地殻の元素組成と等しい天然組成のガラスを自然界において超長期的に安定な核廃棄物の容器として適当な候補であると予想し、その妥当性を本研究で検討する。 均質で多量の試料を得る可能性のある玄武岩、安山岩、流紋岩、泥岩を選択し、その一気圧下での融点を一気圧の電気炉で決定した。ガス圧実験装置を用いてガラスと水溶液との元素分配実験0.1-0.5GPa、100-500℃の条件下で行った。この時、ガラス中に生じる元素の濃度勾配は、EPMA装置を用いて検討した。今後微量元素の濃度分析をICPMS装置を用いて行う予定である。
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