沖縄のサンゴのホウ素同位体とサンゴ礁のpHの関係について研究を行った。 1.表面電離型質量分析計を使って、沖縄のサンゴ礁(宜野湾)の海水中のホウ素同位体比(^<11>B/^<10>B)を測定した。13回の平均値として、4.1707±0.0031を得た。また、NIST951ホウ酸中の^<11>B/^<10>B値は、4.0113であったので、沖縄の海水中のホウ素同位体比はδ^<11>B=39.7‰と計算できる。この値は、公表されているデータ(39〜40‰)と一致するので、この測定を通して、ホウ素同位体測定技術は確立された。 2.沖縄のサンゴ礁の(ルカン礁)のpHとサンゴ骨格(アラレ石)中のホウ素同位体比の測定を行った。ルカン礁の昼間pHは8.30-8.75、夜間は7.85-8.10と変動した。また、サンゴ骨格中のδ^<11>B値は22.1から30.8の値を示した。 3.タイのサンゴ礁でも沖縄と同様の調査を行った。ホウ素同位体比は12年度に測定する。 4.サンゴ骨格中のホウ素同位体比から、そのサンゴが石灰化したときの、環境水のpHを推定するために、正確な同位体交換平行定数(K)を決定する必要がある。ミッドウエイ付近の深海サンゴ中のホウ素同位体の測定から、K=1.0225を得た。共沈実験を行い、深海サンゴから得たK値と比較する予定である。 5.K=1.0225を使って、ルカン礁のサンゴが石灰化している時のpHは8.2から9.0と推定できる。しかし、正確なKの値を決定する必要がある。
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