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2000 年度 実績報告書

ホスホリン類縁配位子の逆供与と配位挙動

研究課題

研究課題/領域番号 11874091
研究機関九州大学

研究代表者

松田 義尚  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10037757)

研究分担者 小島 隆彦  九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (20264012)
キーワードホスホリン / ピリジン / 配位窒素原子 / 配位リン原子 / 逆供与
研究概要

配位リン原子、配位チッ素原子を含む共役6員環配位子として、2-フェニル-4,5-ジメチルホスホリン、2-ピコリンを選び、銅(I)錯体を合成して、NMR測定によって逆供与について検討した。
ホスホリンを配位子とする場合、ハロゲン化銅(I)を用いると、Cu(phos)X、(phos=ホスホリン;X=Cl、Br、I)の組成の高分子量錯体が得られる。一方、出発原料に銅(I)アセトニトリル錯体を用いると、Cu(phos)_4^+の組成の単核と考えられる錯体が得られる。銅(II)錯体を出発原料としても、銅は1価に還元される。ピコリンを配位子とする場合、銅(II)錯体は安定に選られるが、銅(I)錯体は非常に不安定である。この違いは、配位原子の、硬さ、σ供与性、π受容性に依存していると判断できる。
6員環配位子の3-位と6-位の水素のケミカルシフトは配位によって変化する(配位シフト)。ピコリンの錯体での配位シフト(重メタノール中)は、3-位と6-位の水素ついてそれぞれ、0.332、0.210ppmと低磁場シフトであるのに対して、ホスホリン錯体(Cu(phos)Cl)では-0.091、-0286ppmと重クロロホルム中で高磁場シフトになる。ホスホリンでは明らかに配位によって配位子6員環部分の電子密度の増加が引き起こされる。また、ハロゲンを変えた場合のCu(phos)Xでの配位シフトは、Cl>Br>Iの順になっており、ハロゲンの供与性(金属中心の電子密度)を反映している。
以上の結果は配位リン原子のπ受容性による金属から配位子への逆供与を明瞭に示している。溶液内での錯体構造の詳細な検討と、ESR,NMR測定によって逆供与の定量的評価が可能になることが確認された。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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