研究概要 |
超臨界流体中での結晶成長を行わせるためには,超臨界流体中への固体物質の溶解度がある程度なければならない。そのため,有機磁性体の候補に挙げている各物質について,現有の高圧光学セルを用いた溶解度測定を行った。非極性流体である二酸化炭素中のテトラシアノエチレン(TCNE)の溶解度は結晶成長を行わせるのに十分な量であった。しかし,いくつかの有機金属化合物について二酸化炭素中での溶解度を検討してみたが,溶解度は極めて微量であった。そのため,極性がわずかにある亜酸化窒素,極性の高いトリフロロメタン中での溶解度を測定中である。TCNEはこれら両流体中においても十分溶解した。 また,新規購入のフィンガータイト高圧容器、デジタル圧力計及び現有設備である高圧液クロ用送液ポンプを組み込んだ結晶成長システムの構築を行った。システムの信頼性を検討するために,超臨界二酸化炭素中でのTCNEといくつかの電子供与体との組み合わせによる電荷移動錯体の結晶成長を行った。その結果,固体電子供与体とTCNEの場合には,短時間でうまく結晶成長できることが分かった。長さ10mm程度の針状結晶を与えるものもあった。また,仕込み組成比(1:1〜1:2)を変化させても,その組成比が1:1である結晶を得ることができた。
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