海洋殺菌群集の遺伝情報を生態系機能(有機物分解活性)に関係づけて明らかにするための新手法の検討を行った。とくに、海洋物質循環において重要な役割をはたしている高分子有機ポリマーのとりこみ活性に着目し、新しい放射標識トレーサーの開発と、それを用いた、マイクロオートラジオグラフィー・FISH法の検討を行った。FISHには、アルファ、ベータ、ガンマの各プロテオバクテリアおよびサイトファーガ・フラボバクタークラスターに特異的な16SrRNAオリゴヌクレオチド蛍光プローブを使用した。細菌の固定、保存方法。細菌群集のガラス面への固定化条件、標識時間、ハイブリダイゼーションの条件、感光条件、顕微鏡観察条件のそれぞれについて、検討をくわえた結果、高分子分解活性を有する細菌分類群を、銀粒子の沈着により検出することが可能になった。ただし、バックグランドの影響が大きく、現場条件下での適用には問題が残されている。現在、フィルター、ガラス面への放射基質の吸着を低減することにより、バックグランド沈着を抑える方向で検討を進めている。
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