研究概要 |
1.AMSに供するための土壌試料の前処理法 AMSによる花粉試料の年代測定の準備段階として,森林土壌から花粉を高濃度で抽出するための物理・化学的処理について検討した. 酸とアルカリによる化学的処理,メッシュによるふるい分け,重液による比重分離に基づき,試薬の選択と処理の順序を検討して,最終的に以下の順序により土壌試料を処理した;40%HF(20℃,1h)によるケイ酸質成分の除去,200μmメッシュによるふるい分け,10%KOH(70℃,20min)による解膠と腐植酸の除去,10%HCl(70℃,10min)による炭酸塩の除去,5%NaClO_2(20℃,10min),ConcH_2SO_4(20℃,3h)による有機物砕片の酸化,10%KOH(70℃,20min)による腐植酸の除去,80μmメッシュによるふるい分け,CsCl溶液(s.g.=1.90g/cm^3)による比重分離(3,000r.p.m,30min),1.75〜1.40g/cm^3までの密度勾配で段階的に遠心分離(2,000r.p.m,20min),10μmメッシュによるふるい分け.その結果,1.40〜1.60g/cm^3までの密度溶液において,花粉が高濃度で抽出された.しかしながら,花粉と同比重,同粒径の炭化物がわずかながら残留しており,この炭化物の除去が次の課題として残された. 2.AMSによる堆積花粉の年代測定 八甲田山地赤倉岳の噴出年代既知の火山灰土壌,及び剣山地カヤハゲの崩積土壌を採取して,複数層位から堆積花粉を抽出した.現在,それら堆積花粉の年代測定を,花粉と同一の層位から抽出した大型植物遺体(小枝),もしくは木炭片の年代測定と合わせて依頼中である.その結果を用いて,土壌花粉の堆積状態について検討する予定である.
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