今年度も形質転換アミミドロの作製方法について検討した。既知のプロモーターの中で、緑藻でよく使われており、緑藻アミミドロと系統的に比較的近いと考えられる、クラミドモナスのルビスコスモールサブユニット2プロモーター(RBCS2)が使用できるかどうか、RBCS2-bacterial ble gene(zeomycin耐性)が組み込まれたプラスミドを用いて、詳細な条件検討を行なった。パーティクルガン法を用い、遊走子形成直前の原形質分割途中の細胞および単核細胞からなる形成直後の群体に、弾の種類や作製法、撃ち込む強さ、銃とサンプルとの距離等、撃ち込み条件を変え遺伝子導入を試みた。また、グラスビーズ法で細胞壁を持たない遊走子の時期の細胞および群体形成直後の細胞壁の薄い細胞を用いて、プラスミドの濃度、ボルテックスの時間と強さ、などを変え、遺伝子導入を試みた。両方法とも、選択培地中のzeomycinの濃度や遺伝子が導入された細胞と無処理細胞との生長の差を詳細に比較し、形質転換細胞の選択を行なった。しかし、検討した条件の中では、いずれも明確に形質転換されたと判断できる細胞が得られなかった。クラミドモナスはアミミドロとは分類上で異なる目に属しており、アミミドロ細胞内ではクラミドモナスのプロモーターがうまく機能しないのかもしれない。そこで、アミミドロ細胞内で強く働くプロモーターを得るため、アミミドロ遊走子で発現量の多いタンパク質を検討および同定し、そのプロモーターを取り出そうとしている。
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