研究概要 |
本研究でめざす項目は下記の通りである。(1)酸素中でのグラファイトのレーザーアブレーションによる、サファイア基板上での大面積平坦ダイヤモンド薄膜の低温新合成技術の確立、(2)ダイヤモンドp,n半導体合成のためのレーザーを利用した新手法の確立、さらに、(3)酸素中でのグラファイトレーザーアブレーションの解析によるダイヤモンドヘテロエピタキシー機構の解明、である。昨年度と今年度の研究により、基板温度および酸素圧を変化させながら、ダイヤモンド結晶成長が効率よく行えるような条件を調べた。その結果、酸素圧が0.1〜0.2Torr、基板温度が600℃付近の条件でダイヤモンドの結晶核形成および成長が起こることを見いだした。SEM観察では、基板方位に応じてエピタキシャル成長したダイヤモンド結晶粒子に特有な結晶面が観察されており、さらに基板面内で結晶方向がそろっているのがわかった。AFM観察より、結晶粒子の平均高さは約0.2μmであった。顕微ラマン散乱スペクトルを測定すると、ダイヤモンドに特有な1332.8cm^<-1>を中心とする鋭いラマンピークが観測された。ピークの半値幅は極めて小さく、高品質なダイヤモンド粒子が形成されていることがわかった。グラファイトの酸素中レーザーアブレーション時の発光柱の時間および空間分解の解析から、気相中のC2分子がダイヤモンド成長に大きく関与していることがわかった。
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