研究課題/領域番号 |
11875013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 博司 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20127103)
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研究分担者 |
石川 順三 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80026278)
後藤 康仁 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00225666)
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キーワード | 負イオン注入 / 量子ドット / ガラス / 超微粒子 / プラズモン共鳴吸収 / 非線形光学特性 / 3次の非線形光感受率 / 縮退四光波混合法 |
研究概要 |
1.金属負イオン注入と金属量子ドットの形成と理論的予測との比較 負イオン注入装置により銅負イオンを30kevでソーダライムガラス基板とシリカガラス基板に種々の1×10^<16>〜1×10^<17>ions/cm^2の注入量で注入して、銅負イオン注入ガラス試料を作製した。そして、注入直後および150℃から1000℃の範囲で熱処理(アルゴン中、1時間)後の可視領域における光の吸収量を測定した。その結果、銅の超微粒子に由来する表面プラスモン共鳴による吸収が注入直後の試料およびアニールした試料で観測され、ガラス表層に数nm径の超微粒子の量子点が多数形成されていることが判明した。ソーダガラスでは300℃、シリカガラスでは600℃の熱処理までは吸収ピークが僅かに増大し、粒径の僅小な増大が観測された。Mieの散乱理論をもとに、銅量子点を含むガラスの光学特性を計算した。その結果、実験的に求めた光学特性と良い一致を示し、銅注入ガラス中に量子点が存在することが明らかとなった。 2.ガラスビーズへの銅負イオン注入による金属量子ドットの形成 平均粒径605μmのソーダライムガラスビーズに銅負イオンを50keVで1×10^<17>ions/cm^2注入して、その線形光学特性を測定した。その結果、銅超微粒子の表面プラズモン共鳴による吸収が2.2eV付近に得られ、ガラスビーズ表層においても、数nm粒径の超微粒子による量子ドットが形成されていることが判明した。 3.銅負イオン注入ガラスの非線形光学特性の評価 銅負イオンを30keVで1×10^<17>ions/cm^2注入したソーダライムガラスとシリカガラス基板の非線形光学特性として、波長532nmレーザーを用いて、縮退四光波混合法により信号光位相共役光のポンプ光光度依存性を測定した。その結果、信号光位相共役光の反射率は、ポンプ光強度に依存し、非線形性を示した。これらの結果から評価した3次の非線形光学感受率は、1.3〜2.0×10_<-7>esuという大きな値が得られた。
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