研究課題/領域番号 |
11875014
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片岡 俊彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029328)
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研究分担者 |
井上 晴行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30304009)
押鐘 寧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40263206)
遠藤 勝義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90152008)
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キーワード | 走査型近接場光学顕微鏡 / SNOM / キャビティーリングダウン分光 / エバネセント場 / 近接場局所分光 |
研究概要 |
本研究は、走査型近接場光学顕微鏡(Scanning Near-field Optical Microscope;以下SNOMと略記する)に特有の応用分野を開拓する意味で、新型の分析システムの提案を行ない、その実証を試みている。具体的には、物質との近接効果が顕著に現れる可能性がある、μmオーダの微小球の共振状態に注目し、この微小球により試料表面の各微小領域でキャビティーリングダウン分光法(Cavity Ring Down Spectrosocpy:CRDS→研究課題中の略称はこの分光法を指す)を行ないながら走査型顕微法を実行するシステムの創成と実証と行なう。 本年度は、研究開始に当たり、物質との近接効果が顕著に現れる可能性がある、μmオーダの微小球の共振状態に注目し、この微小球により試料表面の各微小領域でCRDSを行ないながら走査型顕微法を実行するシステムの製作を開始し、一部の性能評価を行なった。 ・光源部:リトロー配置の回折格子との間で外部共振器を構成する半導体レーザーを準備し、発振線幅(〜5MHz)、出力安定性、波長スキャン性能などを評価し、システムに組み込むのに十分な性能であることが分かった。 ・プローブ部:(a)の出力光を0.85μm用PANDAファイバで伝送し、非球面レンズによりコリメートして、微小球を照明する光学系を製作した。レーザー波長を変化させることにより、微小球の共振状態を確認し、維持することが出来た。 ・CRDS部 微小球の共振状態の変化を、この球からの散乱光強度の変化により検出するため、PMT+アンプからなる高感度光検出系を製作し、パソコンにより信号処理する系を構築した。 プローブ部の初期テストとして、50μmのポリスチレン球に1.5μmのアクリル突起を付着させたプローブを製作し、レーザー波長を固定(=試料が近接しない状態で共振状態を発生する波長)して、アクリル突起からの散乱光強度にフィードバックをかけ、通常のSNOMとしての試料走査を試みた。その結果、金属蒸着面のμmオーダの微細構造が観察でき、CRDSシステム構築の可能性が示せた。次年度以降は、CRDSシステムの完成と評価を目指す。
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