地域冷房の冷熱輸送管において、氷粒子を冷水に混入することにより冷熱輸送密度を向上させる技術の実用化に当たり、氷粒子による管路の閉塞が障碍となっている。本研究はこの閉塞現象を解明しこれを予測、回避する方法を見出すことを目的としている。今年度は、このための装置の開発、製作、測定方法の確立、及び予備的実験を中心とする下記の事項を行った。 (1)個別要素の閉塞実験装置製作:現有の油圧装置を使用して、個別の管路要素における閉塞実験装置を製作した。この装置により、流速を所望の値に設定し、氷粒子の圧密による閉塞発生過程における氷粒子挙動の観察、圧力の測定を行うことが可能となった。また、管オリフィスについて実験を行い、氷粒子による閉塞が発生することを確認した。 (2)氷粒子の付着性の定量的評価:氷粒子を円柱に充填して整形した円柱形試料に対する圧縮試験により、氷粒子の付着性を評価する方法が有効であることを示した。この圧縮における荷重の方法を改良し、従来よりも安定した結果が得られることを示した。 (3)管路内の流動特性:円管内の流速と同じ速度でカメラを移動する装置を製作し、氷粒子と水の混相流の流動状態を観察、ビデオ撮影した。これにより、氷粒子塊の挙動を調べるとともに、圧力損失と流れの状態の関係を調べた。 (4)直接接触式熱交換器の開発とその特性:閉塞発生の原因となる細い流路や分岐を持たない熱交換器として、氷ー水直接接触式の熱交換器を製作し、その熱交換特性を調べた。
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