液体中にひたした1ミクロン〜10ミクロンの球形微小粒子を水平な基板上でブラウン運動させ、それを光学的に観察し、微粒子のふるまいと基板上に構築したミクロンオーダーの微小構造の相互作用を調べた。まず何も構造を作らない滑らかな表面の基板を水平にそしてやや斜めに傾けて置き、基板上の粒子の運動が理論的拡散値とよく一致することを確認し、この実験系の精度を検証した。続いてエッチングと放電加工によってミクロンオーダーの構造を基板上に構築し、微小粒子との相互作用を調べた。その結果、基板上の円形の穴の直径と粒子直径の比を適当にとると、ブラウン運動による水平移動は拘束したまま、回転運動のみを観察できる系を見い出した。この系の粒子運動の光学的測定により、粒子の回転運動は理論値とよく一致しており、穴の壁と粒子の干渉はブラウン運動に比べて充分小さいことを確認した。また基板上の線形の溝と粒子の干渉により、粒子を溝に沿って整列させる系を見い出した。
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