研究概要 |
本研究では,ファインメタルファイバー材料の電磁的特性を考察し,マイクロ波しゃへい材等への応用の可能性について検討を加える。 本年度は, (1)直径10〜30μm,長さ数十mm程度の金属導体の細線からなるファインメタルファイバーに,10GHz帯マイクロ波を入射させた時の,反射特性および透過特性を測定し,材料の基本電磁特性を考察した。 (2)ファインメタルファイバーをガラス繊維に混入させ不織布とすることにより,柔軟性や加工性を具備した金属繊維混入不織布に注目し,その電磁特性評価法を確立すると共に,混入する金属繊維の量と電磁特性との関係を一部明らかにした。 すなわち,(1)においてファイバー構造(厚さ,密度,素線の太さ等)とマイクロ波透過率との関係を見い出すことにより,電磁遮へい材として使用する際のファイバー構造パラメータを見い出した。 またこのファイバーそのものに対して得られた電磁的特性評価結果を基礎資料として,実用に適した材料形状を模索した結果,ガラス繊維等にメタルファイバーを含有させたシート状材料が,電磁遮へい材や電波吸収材として応用可能であると判断し,(2)において,その材料定数の精密測定を行った。 次年度には,以上の成果を引き継いで,ファインメタルファイバー内の伝播・吸収のメカニズムを理論的に解明すること,電磁遮へい体・電波吸収体の設計試作を行うこと,等を計画している。
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