研究課題/領域番号 |
11875068
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
安岡 康一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00272675)
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研究分担者 |
劉 源興 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40242284)
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キーワード | マイクロホローカソード / CO_2プラズマ / 大気圧駆動 / 放電安定性 / パルス駆動 / pD積 |
研究概要 |
平成12年度は前年度に用意した実験システムを使用し、より高い動作圧力でCO_2プラズマの発生を可能とするため、マイクロトレンチ構造を発展させたマイクロホローカソードを電極構造に取り入れ、直流およびパルス励起方式の研究によって大気圧まで安定にプラズマ化する技術を確立した。 直流駆動の実験では陰極穴径200μmの場合に、最大460Torrまで安定な放電ができた。しかし、大気圧での運転は放電が不安定になり、実現できなかった。また、直流駆動の場合は大きな値の安定化抵抗を必要とするため効率は低く、これら問題点を解決するため、パルス駆動化を進めた。 パルス駆動の場合は、陰極穴径600μm、ギャップ長100μmの場合に、100%CO_2ガス大気圧で安定な放電を始めて実現した。パルス駆動の場合は、安定化抵抗を直流駆動に比較して50分の1にまでに低減でき、抵抗で消費される電力の大幅削減を可能として全体効率の向上を実現した。また、パルス駆動のマイクロホローカソード放電の安定性はガス圧力pと陰極穴径Dに影響されるだけではなく、陰極-陽極間のギャップ長dにも大きく影響されることを示し、これらの実験結果から、安定放電領域の上下限をpD積及びpd積により示すことを提案した。さらに、圧力760Torr、陰極穴径600μm、ギャップ長100μm、放電電流100mAの場合、負グロー部の換算電界は127Tdであり、陽光柱部の換算電界37Tdに比較して、3倍強であることがわかった。同条件での放電電流密度は〜35A/cm^2、放電エネルギー密度は〜1.3MW/cm^3であった。CO_2の分解特性は、マルチチャンネル分光測定及びガス検知管により観測し、マイクロホローカソード放電によって、COとO_2に分解されている様子を確認した。以上より、微小陰極穴径をもちかつ短ギャップ化したマイクロホローカソード構造により大気圧プラズマを駆動する技術を確立し、これによって換算電界の高い負グロー部を有効利用することを可能とし、今後この特徴を生かした幅広い応用が期待されることを示した。
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