研究課題/領域番号 |
11875073
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90195800)
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研究分担者 |
高橋 昌男 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00188054)
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キーワード | XPS / シリコン / 窒化 / シリコンオキシナイトライド / 密度汎関数法 / SiO_2 / 窒素プラズマ / 低速電子衝撃 |
研究概要 |
低速電子線衝撃によって生成した窒素プラズマに露出することにって、室温から700℃の低温でSiO_2膜を窒化できることを見出した。窒化を450℃以下で行った場合、N1s領域のX線光電子分光(XPS)スペクトルには397.9eVに1本のピークのみが観測され、N(-Si)_3(3個のシリコン原子が結合した窒素原子)によるものすなわちシリコンオキシナイトライドと帰属した。一方、400℃以下で窒化を行った場合、399.2eVにもピークが観測され、密度汎関数法を用いた理論計算の結果、N^+(-Si)_2(2個のシリコン原子が単結合した窒素イオン)によるものであることが分かった。N-(-Si)_3のみを含む場合、窒素中700℃の加熱によってもスペクトルは変化しないが、N^+(-Si)_2を含む場合400.7と402.4eVに新たなピークが出現すると共に、399.2eVピークの強度が減少した。密度汎関数を用いた計算の結果、400.7eVのピークをO=N-Si(1個の酸素原子と2重結合し、さらに1個のシリコン原子と単結合している窒素原子)、402.4eVのピークをN^+(-Si)_4(4個の窒素原子が単結合している窒素イオン)と帰属した。O=N_-SiはSi/SiO_2界面近傍に多く存在して、N^+(-Si)_2と歪をもつSiO_2が反応する結果形成されることが分かった。一方、N^+(-Si)_4は薄膜中に均一の濃度を持ち、N^+(-Si)_2とバルクSiO_2が反応する結果形成されることが分かった。窒化のメカニズムとして、SIO_2膜の表面酸素原子が窒素プラズマ中のN^+イオンと置換して、まずN^+(-Si)_2が形成される。表面に吸着している窒素イオンが誘起する電界により促進されて、N^+イオンの内部への移動が促進され、活性化エネルギーの障壁を超えてN(-Si)_3が形成される。
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