研究概要 |
既設のRFスパッタ装置を用いて,ホットプレスした銅-アルミ酸化物ターゲットから膜堆積を試みた。この時、基板には7059ガラスおよび石英ガラスを用いた。スパッタガス圧および基板温度は,それぞれ,2(mTorr)および意図的加熱無しの条件一定とし,スパッタガス(アルゴン+酸素)の混合割合を変化させた。堆積した膜について,光透過率、X線回折の測定を行った.また,堆積膜を空気中で熱処理して,その変化を観察した. これらの実験の結果,現在までに以下のことがわかった. 1.堆積したままの膜は,X線回折の結果はブロードで特徴的なピークは見られずアモルファス状の膜と考えられる. 2.スパッタガス(アルゴン+酸素)の混合割合により,堆積膜の組成が変化することが分かった.Arのみの雰囲気で堆積した場合にはかなりCu-richになるが,O_2の比率を増加するにつれてAlの組成比が増加し,Ar:O_2=2:3程度にした場合にCuとAlとの比がほぼ1:1となった. 3.空気中で熱処理を行った場合,処理温度が700℃までは膜には変化は見られないが,7059ガラスを基板に用いた場合には700℃で基板が軟化変形してしまうため,それ以上の処理は困難であった. 4.石英がラス基板上に堆積した膜に,800℃,12時間の空気中熱処理を施したところ,膜の透過率が改善された. 5.この時同時に,X線回折測定でピークが観察された.現在のところこのピークの完全な同定はできていないが,目的とするデラフォサイト結晶のピークからはややずれており,スピネル等のピークの可能性がある. 6.堆積したままの膜は低い抵抗を示す場合があるが,おそらくアモルファス状態の金属膜の電気伝導と考えられ,熱処理後には通常の抵抗測定器では測定できない程度の高抵抗となった.
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