研究概要 |
シリコンナノクリスタルの熱音響効果を利用した新しい超音波放出現象を確認し、さらに素子のアレイ化によって超音波出力の高効率化を図る研究を行った。今年度において得られた主な成果を以下にまとめる。 (1) シリコンナノクリスタルの熱音響効果の解析 単結晶シリコン基板上に量子サイズシリコンナノ結晶層を形成すると、熱伝導が極端に異なる二層構造が形成される。このような系から期待される熱誘起現象を理論的に解析したところ、実用レベルの超音波出力が発生可能との見通しが得られた。 (2) 素子の基本設計・試作と特性測定 新原理の熱誘起超音波エミッタについて素子構成・サイズなどを設計・試作し、電気的な入力による音響出力特性を測定したところ,超音波の発生が観測された。出力が入力パワーに比例し、かつひろい周波数帯にわたって一定であることなど、理論的な予測通りの特性を示すことを確認し、本方式が従来の固体振動形超音波源にはない特長と技術的発展性をもっていることが明らかになった。 (3) 素子の微細・アレイ化の検討 熱誘起現象のスケーリング則に沿って、素子を微細化しさらに周期的に配列した素子の設計を行い、プロセスフローとその具体的方法を決定した。
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