研究概要 |
橋梁での床板の耐久性向上は大きなであるが,水がその損傷を加速することが知られており,床版内の水を非破壊検査によって検知できる方法を確立することが強く望まれている. 本研究に用いたアイアンシーカはコンクリート内部調査レーダの1種であり、高周波電波をコンクリート表面より内部に向けて放射し、その反射信号を処理する事により、鉄筋等の配筋状態や空洞などの位置、深さを非破壊で計測するものである.そこでこのアイアンシーカを利用し、ひび割れに無害な金属を流し込むことより、その位置を検知の可能性を系統的な実験により調べた.具体的には,微量金属に対しどの程度の反応を示すかを調べる実験を行った. 実験の結果から得られた結論は、 ・アイアンシーカの反応は埋設物が測定面に近いほど、金属の量が多いほど強くなり、そうでなければ反応は弱くなる。 ・今回用いた微量金属では水溶液時に多少の反応を示すが、それも水分による部分が大きく、微量金属自体では反応しない。 ・アイアンシーカにおいて比誘電率の低い埋設物の深さを求めるときは、誤差が大きくなる。 ・大きなひび割れは何もない状態でもわずかに反応するが、ひび割れの大きさはわからない。 今後の課題として ・実際の無筋、鉄筋コンクリートのひび割れでアイアンシーカがどの程度反応するかを実験してみる必要がある. ・実際の床版でアイアンシーカがどのような反応を示すかをおこなってみるべきである. ・強い反応を示す微量金属を実験により見つけ出し、コンクリートのひび割れや実際の床版上で実験をおこなう必要がある. ・舗装の上から微量金属の水溶液を散布し、その浸透の速さなども求める必要がある. ・水によるアイアンシーカの反応への影響を詳しく調べ、水が増減する過程での反応や、水を用いていない時の状況の反応とを比較し、その関係を求める必要がある.
|