研究概要 |
1.月震記録の収集・整理 今回アポロ計画で得られた月震記録を得ることができ整理を行った。アポロ12号('69-'77),14号('71-'77),15号('71-'77),16号('72-'77)で記録されたイベント数を月震の種類で分類すると深発月震で8690イベント,隕石の衝突による振動で971イベント,浅発月震で266イベントであった.人工的な振動実験も行われており60イベントの記録が得られている.月震の継続時間は非常に長く、数十分から数時間に及ぶものもあることが分かった.データ数が膨大であるため詳細な検討は不十分であるが,いくつかの月震記録に対するスペクトル解析により、深発月震,浅発月震ともに周期約2.5秒の成分波が卓越していることが分かった. 2.月の浅部構造の推定 月の地盤構造に関する資料から表層付近での地盤のS波速度,P波速度はそれぞれ50m/s,100m/s程度と非常に遅いことが分かった.なお,深部のS波速度,P波速度は地球のこれらに比べると同程度あるいは遅い傾向にあることが分かった.現時点では資料から得られた地盤構造であるが,今後は収集した月震記録の解析を行い,これらの月震記録と整合する浅部構造を推定する予定である. 3.最大月震動の予測 上記1.の月震記録の整理がまだ終わっていないため実行には至っていないが,現時点で自然月震(深発・浅発月震)による振動は比較的小さいことが分かっており,今後,主に隕石の衝突による最大震動について検討する予定である. 4.月土壌の採取法及び地球への持ち帰り法の研究 月模擬土壌の作製およびそれを用いた月土壌の採取テストを実施し、無人操作による採取の可能性を確認した.次年度は,月面での特殊環境下での作業性および地球への持ち帰り法の研究を行う.
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