研究概要 |
研究計画初年度である本年度は,長期観測地点情報の画代表性に関する検討を中心に進めた. (1)長期積算降雨分布の地形依存特性 降雨の分布特性解明の足がかりとなる「降雨分布の地形依存特性における時間スケール階層構造」について解析を行い次のような成果を得た.すなわち,a)スケール階層構造の存在を提示した,b)スケール階層構造を把握するための二つの指標,すなわち降雨分布と地形標高分布との相関係数,および標高別平均からの分散特性を提示した,c)スケール階層構造は降雨の主要成因によって異なることを示した,d)地形標高を層別化し,各標高区分内での平均降雨量対数値と地形標高とは直線関係にあるというより普遍的な特性の存在することを明らかにした. (2)降雨-蒸発過程における長期観測情報の面代表性 (1)の解析から明らかとなる降雨分布の時間・空間構造特性をベースに,空間的に広がる降雨分布の時系列を模擬発生させ,その上で空間内各地点ごとの日降雨量時系列に陸面水文過程モデルを適用して,各地点ごとの蒸発量時系列を算定する.最後に,いくつかの異なる面積での領域平均雨量時系列,ならびに異なる時間スケールで平均した地点蒸発量の時間平均系列を比較することにより,長期観測情報の空間代表性を定量的に表現し得る可能性が示唆された.
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