研究概要 |
今日の河川が抱える諸問題は水循環や物質循環など,川の中だけの対応では対処しきれない現象が顕在化してきており,地域や流域を視野とした対応が不可欠である.一方,先の河川制度の改正では新たな河川行政の命題の1つに"川と地域の関係の再構築と連携"というテーマが位置づけられ,河川管理に流域の市民の参加と連携を推進していくことが求められている.この背景には,川の特性と地域風土の実情に応じた川づくりを図るために,流域の地域住民との連携が不可欠であるという問題認識がある.したがって,人と川との関わりを再構築していくためには,流域および地域の自然,風土,社会の実情を如何に今後の川づくりや流域管理に反映していくのかという手法の開発(地域河川学)が必要となってきている. そこで本研究では,千代川流域の地形的特徴や社会特性,自然環境,風土特性およびそれらの法則性について分析するとももに,河域地形則でHortonらが流域の定量的記述を図ってきたように,流域住民の意識,市民活動等の実態調査を行い,流域・地域特性を考慮した新しい地域河川学の構築を試みることを目的としている.本年度は,研究の初年度であり,千代川流域を中小流域単位に分割し,地形,社会,自然,風土などの諸特性についてのデータ収集を行うとともに,千代川流域において河域地形則を調査し,河道の位数と各種データとの関連性についても検討した.また,千代川流域を対象に流域住民の川に対する意識や関心度についてアンケート調査を実施しデータを整理するとともに,簡単な分析を実施した.
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