本年度は以下の(1)〜(3)の項目について研究を行った。 (1)煉瓦造住宅のライフサイクルアセスメントのための各種原単位の整理とデータベースの作成 LCA算定の基礎データとなる炭素排出原単位およびエネルギー消費原単位について、建設省建築研究所と日本建築学会のデータを比較した。日本建築学会の原単位データは建築資材の種類が十分でなく、戸建住宅の構造別算定には向かない。本研究で作業を進めているデータベースの作成には建設省建築研究所の原単位データを採用した。 (2)煉瓦造住宅と木造、RC造の建設に係わるCO2排出量の比較 日本建築学会の標準住宅モデルを対象に、木造住宅、煉瓦造住宅(DUP工法)、煉瓦造住宅(湿式工法)、RC造住宅について算定を行った。住宅の耐用年数は、木造30年、煉瓦造(DUP工法)50年、煉瓦造(湿式工法)30年、RC造50年とし、DUP煉瓦は3回リユースするものとする。評価対象期間を100年とした場合、建設に係わるCO2排出量は木造11.5、煉瓦造(DUP工法)11.2、煉瓦造(湿式工法)11.8、RC造12.9[kg-CO2/(m2年)]で煉瓦造(DUP工法)が最も小さい。このように煉瓦をリサイクルし、耐用年数を延長すれば、煉瓦造住宅(DUP工法)は他の構造と比べて低環境負荷の住宅となる。 (3)煉瓦造試験室を用いた実測調査 既存住宅のガレージを煉瓦造試験家屋に改良して夏季および冬季の室内熱環境実測調査を行った。夏季においてはクールチューブの冷熱を煉瓦壁に蓄熱する場合の有効性を、冬季においては、集熱パネルおよびトロンブウォールと煉瓦蓄熱壁の併用効果を明らかにした。
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