研究課題/領域番号 |
11875124
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渡邊 貴介 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (10111478)
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研究分担者 |
羽生 冬佳 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (40302971)
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キーワード | 李朝期朝鮮 / 全羅道 / 風水地理概念 / 都市の立地原理 / 都市の空間構成原理 / 鎮山 / 城郭 |
研究概要 |
本年度は実施した研究内容は、以下の通りである。 1.基礎文献資料および関連研究の収集と翻訳・解釈 :研究対象として、李朝期に風水思想が最も盛んであった全羅道の諸都市(邑城)56都市を取り上げ、諸都市が李朝王朝に対して報告した「絵図(1872年作成)」や官選地理書「邑誌(1872年)」などの基礎資料の収集および日本語への翻訳や解釈を行った。 2.風水地理思想の導入状況による都市の分類 :風水地理思想について、先行研究の成果を横断的に吟味することで基本的理論の整理を行い、絵図分析において都市の立地形態や空間構成を把握するための基準を導出した。結果、鎮山と城郭が風水の基本的2要素であることが確認され、それらの有無により全羅道の全56都市は4つの都市群(鎮山および城郭を持つ都市、鎮山を持つ都市、城郭を持つ都市、鎮山も城郭も持たない都市)に分類された。 3.鎮山および城郭を持つ都市の立地上の特徴の分析 :鎮山および城郭を持つ17都市を対象に、立地の地形・水系の形態的描写、風水的観点からの考察、さらに、実測図との比較分析による誇張や粉飾度等を詳細に把握し、考察した。結果、地形・水系を類型化してみると8タイプに集約され、その中での「馬蹄型」「2河川合流型」が最も多く、都市立地の典型的描写であると言える。また、基本風水の局面からは内局中心の風水局を持っていることと、風水的囲繞を強調する山や川の形態的特徴、「藪」「造山」「人工池」等の稗補要素の抽出、さらに、実測図との対照により、鎮山からの脈の流れや囲繞の程度、および水系の形状や位置にそれぞれ誇張があることが明らかになった。 なお、平成12年度は、引き続き都市分類別に都市立地の特徴を進めていくとともに、都市内部の空間構成上の特徴分析を行い原理の抽出を試みる。また、我が国の都市空間構成原理への影響について、近世日本の諸都市と比較分析を行う。
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