インターネットを通して見られる建築・都市的表現のうち、特に「サイバーシティ」と「情報空間」のサイトを対象とした現状把握を試み、インターフェイスとしてのこれらの表現の意味を明らかにすることを目的とする。 (1)事例収集:主に「サイバーシティ」と「情報空間」をキーワードに検索されるサイトを対象に建築・都市的表現の事例を収集し、画像データとして保存した。また、「情報空間」については、言葉の定義があいまいなため、社会学・認知科学・情報科学等の既研究にも言及した。 (2)表現のタイポロジー:上記で得られた建築・都市的表現の分類を試みた。「サイバーシティ」では、表現の対象のスケールと図法、都市機能との対応の有無などを手がかりとした。「情報空間」では、大量の構造化された情報を可視化するものと、概念情報を対象とするものに分類された。いずれの場合も分類の手がかりとなるカテゴリーが存在することが明らかとなった。 (3)ユーザーの認識に関する調査・分析:ユーザーがどのように捉えているかについて予備調査を実施し問題点を抽出した。いくつかのサイト内を自由に探索するよう被験者に指示し、その様子をビデオに記録する。発話の記録から探索の手がかりについて考察を行った。さらにアンケートにより(1)インターネット上のこれらの表現を実在する空間に比してどのように捉えているのか、(2)テキスト主体のものと差があるのか、についての回答を得た。画面上にリンクがたどれるいくつかの手がかりが存在し、それを探す傾向があることなどが結果として得られた。 (4)今後の課題: 「(3)ユーザーの認識に関する調査・分析」をさらに進めること、インターネットでの表現を幅広く収集することなどを今後の課題と考えている。
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