研究課題/領域番号 |
11875135
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高井 治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40110712)
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研究分担者 |
井上 泰志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10252264)
杉村 博之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10293656)
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キーワード | 窒化スズ / 高周波反応性スパッタリング / 結晶構造 / スピネル / XRD / XPS / 電子密度状態図 / 化学結合状態 |
研究概要 |
本研究では、高周波反応性スパッタリングを用いて多結晶の窒化スズ薄膜を作製し、成膜条件が諸物性に与える影響についての調査を行い、特に結晶構造と組成比に着目し、窒素含有量の高い窒化スズ薄膜を作製するとともに、推定される化学量論組成に近い試料を用いて、結晶構造を明らかにすることを目的とした。 高周波反応性スパッタリングによって、高い窒素含有率をもつ窒化スズ薄膜を作製することができた。また試料内部では不純物酸素の組成がより少なくなることから、窒化スズ薄膜の酸化は大気中において進行するものであり、成膜段階ではより高純度な窒化スズ薄膜が作製されていると考えられる。 成膜時の基板温度により、窒化スズ薄膜の結晶性が変化することがわかった。XPSなどによる測定結果から、どの試料も窒化スズが作製されており、窒化スズ自体の構造が変化することがわかった。粉末X線回折結果から、室温相で得られる窒化スズ薄膜の結晶構造は、スピネル型をしていることがわかった。このことは、試謬法や電子密度状態図からも確認できた。一方、高温相の結晶構造を解明するためには、もっと多くの回折ピークを高精度に観測する必要があるため、今後、電子線回折などを用いて様々な方向から観測データを収拾する必要がある。 窒化スズの結晶構造の一つが明らかになった。これにより、さらに高精度な測定とあわせて、窒化スズの電子密度状態による化学結合分析やエネルギーバンド構造の計算などをおこなうことができるようになる。それらを利用すれば、より精密な材料開発が可能になるため、今後窒化スズを用いたアプリケーションなども検討しやすくなるものと考える。
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