大気開放型化学気相析出(CVD)法において、原料にZn(C_5H_7O_2)_2を用いて、エピタキシャル成長基板上にZnO結晶を成長させると、基板から垂直に成長したエピタキシャルウイスカーとなる。本研究では、BaTiO_3などの強誘電体エピタキシャルウイスカーを作製し、樹脂によりウイスカーを垂直に固定して、強誘電体特性を得ることを目的とした。BaTiO_3エピタキシャルウイスカーは得られなかったものの、二金属酸化物としてアルミニウムをドープしたAl:ZnOウイスカーとZnOウイスカー先端からMgOウイスカーが成長するZnO-MgOへテロウイスカーを得た。条件の最適化によってBaTiO_3もられる可能性は未だ残っている。次にZnOエピタキシャルウイスカーをPMMAおよび熱硬化性シリコーン(ポリシルセスキオキサン)によって垂直成長状態で包埋した。ZnOウィスカー群は平均長さ35μm、直径1.8μm、数密度5x10^4mm^<-2>である。熱硬化性シリコーンを用いた場合には、ウイスカーをほぼ倒すことなく樹脂に包埋することができた。走査型電子顕微鏡法による断面観察およびX線ロッキングカーブ法による結果がそれを証明している。一方包埋材にPMMAを用いた場合にはPMMA濃度によって包埋特性が変わった。PMMAはウイスカーに流し込む前にアセトンに溶かされて溶液状態になっており、アセトンの蒸発に伴ってPMMAが固化するのである。濃度が比較的低い場合には、ウイスカーが倒れることはなかったが、濃度が高くなるにつれてウイスカーが倒れる現象を確認した。包埋に成功したウイスカーコンポジットについて誘電率を測定した結果、マトリックスの誘電率とあまり変化のないことがわかった。
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