研究概要 |
1.目的 希土類-鉄系硬質磁性化合物において、水素処理により組織が微細化するHDDR現象およびソフト磁性相とナノメータサイズで複合化するナノコンポジット磁石は高性能ボンド磁石用粉末作製法として期待されている。我々の研究により、HDDR処理したSm(Fe,Ti)_<12>化合物(1-12相)およびSm(Fe,V)_7化合物とαFeに再結合することが判明した。本研究では、本系化合物では低温でHDDR処理すればナノコンポジット磁石作製の可能性があると考え、HDDR処理条件と磁気特性の関係について調べることを目的とした。本年度は、HDDR処理温度と出現相の関係について調べた。 2. 実験方法 SmFe_<11>Ti組成合金を高周波溶解、850-1100℃50時間の均一化処理、粗粉砕した後、圧縮成形してペレット状試料とする。その後750〜900℃でHDDR処理した。また水素吸収・放出特性を400℃/hの速度で室温から1100℃まで昇温して調べた。磁気特性はVSMを用いた。 3.結果 (1)水素吸収放出特性より不均化反応は800℃付近、再結合反応は1050℃付近に観察された。 (2)Sm_2Fe_<17>化合物と比較して不均化反応が生じる温度が200℃以上高いことから、本系化合物は水素中熱処理で分解しにくい化合物と考えられる。(3)Co添加合金においては不均化温度はさほど変化しないが再結合温度が低下することがわかった。(4)800℃でHDDR処理した試料ではキュリー温度が220℃の相に再結合しており、この温度でHDDR処理すれば1-7相が出現することが判明した。
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