研究課題/領域番号 |
11875146
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷口 尚司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00111253)
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研究分担者 |
松本 克才 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70190519)
吉川 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70166924)
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キーワード | TiNi / 形状記憶合金 / 変態熱 / マルテンサイト変態 / 伝熱 / ガス冷却 |
研究概要 |
本研究は、金属試料の加熱または冷却時の熱の出入りから変態率の経時変化と変態熱を同時に求め得る方法を考案し、これをTiNi形状記憶合金線状試料の変態熱測定に適用するもので、変態中の試料には応力を加えることができる新しい方法である。 本実験では直径1mmの線材試料を低温に保った窒素ガス中に設置し、直接通電することにより加熱する。そしてその試料温度の経時変化を正確に測定するとともに、その際の試料長さの変位量測定も行った。なお本年度は、試料から熱電対へ奪われる熱量を最小限に抑えるため、試料に取り付ける熱電対の径を細くし、精度の向上を図った。 変態実験に先立ち、比熱が既知で無変態の18%Cr-8%Niステンレス試料を用いた実験を行い、装置特性である伝熱係数を求めた。 変態実験はTi-50.2%Ni形状記憶合金試料を用いて行った。TiNi合金は、昇温時にオーステナイト変態が起こるため、昇温速度が減速する。この減速に使われる熱量から、変態熱・変態率を求めた。実験では、試料下部に荷重をかけ、応力負荷による影響も調べた。 まず本実験から得られた変態温度範囲と示差熱分析結果とを比較し、本実験の妥当性を確認した。 試料に通電する電流値は、変態挙動に影響を与えないことがわかった。 試料に負荷する応力の増加とともに変態温度域は高温側へ移行し、試料長さの変位量も大きくなった。この変位による仕事量は変態熱に比べて小さく、変態熱への影響はわずかだった。 応力負荷時に熱サイクルを与えることにより変態温度域は低温側へ移り、試料全体の長さは徐々に伸びた。この熱サイクルにより変態熱は小さくなる傾向がみられ、すべり変形に伴い試料内に導入される転位が応力誘起変態と密接な関係を持つと考えられる。また熱サイクル数の増加とともにこれらの傾向は小さくなり、収束する傾向がみられた。
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