研究概要 |
本研究で半、本年度まずはじめに、変動磁場による内部応力超塑性の可能性の検討を行った。Laves相の一種のTbFe2,SmFe2は超磁歪材料として知られ、1750X10-6という大きな飽和磁歪を示し、磁界5kOe磁歪600X10-6程度の領域まで磁界と磁歪が線形性を示す。PbをマトリクスとしTbFe2を体積分率1〜5%含む複合材料に対し、振幅±5kOe、0.05Hzの変動磁場を附加すると、マトリクスと介在物間に生じるミスフィットひずみは、ひずみ振幅±0.6X10-3、ひずみ速度±6X10-5s-1となる。この値は、本申請者が熱ひずみによる内部応力超塑性のモデル材料として研究してきたBe粒子分散Al合金の値にほぼ等しいことから、Pb-TbFe2複合材料は十分に変動磁場誘起内部応力超塑性を示すと期待されることがわかった。 次に、磁歪粒子強化鉛基複合材料(Pb-TbFe2)の作製を試みた。融点での蒸気圧が低いことからTbFe2を磁歪材料として選んだ。包晶温度での液相線組成であるFe-70wt%Tbを真空アーク溶解し、TbFe2に少量のTbが混ざった結晶を得た。これを乳鉢で粉砕後ふるい分けし、粒子径50mm程度の磁歪粒子を得た。複合材料のマトリクスとしては、室温でクリープ挙動を測定できるPbを選んだ。複合化は粉末法と鋳造法の両者が考えられるが、本年度はまず粉末法を試みた。Pb粉末とTbFe2粉末とを高エネルギーボールミルで混合後、冷間プレスし、大気中で焼結する。その後熱間押し出しを行い、緻密なバルク試料を得た。 TbFe2が均一に分散していることをSEM観察で確認した。
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