研究課題/領域番号 |
11875164
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松岡 正邦 東京農工大学, 工学部, 教授 (40016671)
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研究分担者 |
内田 博久 東京農工大学, 工学部, 助手 (70313294)
滝山 博志 東京農工大学, 工学部, 講師 (40251582)
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キーワード | 複合結晶 / NaCl-KCl-H_2O系 / 結晶成長 / 固液界面 / diffuse界面 |
研究概要 |
成長中の固液界面では、物性が液体から個体へ連続的に変化する層が存在すると考えられ、このように性質が液体と固体の中間的な界面層はdiffuseな界面と呼ばれる。この考えを進めると、異物質間の固液界面においても類似の現象が生じることが予想される。そこで、NaClおよびKClが共に過飽和状態である水溶液中に、NaCl単結晶(基盤結晶)を溶液内に固定し、結晶の近傍にKClの飽和水溶液を添加することにより結晶表面付近に局所的なKClの過飽和域をつくり(KClの核化の誘発)、結晶表面の現象を検討した。走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面に微小な結晶が析出していることが確認された。また、電子線マイクロアナライザー(EPMA)により元素分析を行ったところ、析出した結晶はKClであることが判明し、NaClとKClが合体(結合)した複合結晶を形成していることがわかった。これは、結晶構造および平衡論からは予測されない結果であり、少なくともエピタキシャルな成長ではないと考えられる。そこで、複合結晶の生成機構の解明を目的として、複合結晶の界面構造をSEMおよび微分干渉顕微鏡により観察したところ、析出したKCl結晶の周りにNaCl結晶が同心円状に隆起し、界面は溝状の曲面構造であることがわかった。さらに、界面への母液の取り込みについて検討するために、NaCl-KCl水溶液へCaCl_2を添加し、得られた複合結晶をEPMAにより分析したところ、界面付近にはCaCl_2が存在しないことがわかった。これより、複合結晶の形成の際には、母液の取り込みが起きず、母液の界面張力による結晶間の接着ではないと考えられる。これらの結果は、化学工学会第32回秋季大会(1999)で発表済および化学工学会第65年会(2000)で発表予定であり、さらに論文として成果をまとめ公表する予定である。
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