研究概要 |
光独立栄養光合成細菌の二酸化炭素固定能の向上を目指し緑色イオウ光合成細菌Chlorobiumtepidum,および紅色イオウ光合成細菌Chromatium tepidumの二酸化炭素固定に関わる酵素の同定とその機能評価を行い、遺伝子工学的改変による機能向上に向けた大腸菌を用いた発現系の構築を行った。Chlorobium tepidumの二酸化炭素固定酵素はホスホエノールピルビン酸炭酸化酵素であることをChlorobium tepidum菌体から酵素を精製することにより確認した。その後公開されたChlorobium tepidumゲノムシーケンスからも、これまでに1次構造が明らかになったホスホエノールピルビン酸炭酸化酵素と相同性の高い2745bpのORFが確認された。PCRによりこのORFを増幅し、これを発現ベクターに挿入してホスホエノールピルビン酸炭酸化酵素を発現するためのベクターpPEPCを得た。pPEPCで大腸菌BL21を形質転換し、LB培地で培養後、IPTGで発現誘導を行った。SDS-PAGEおよびC末端に付けたヒスチジンタグを利用したウエスタンブロッティングによりホスホエノールピルビン酸炭酸化酵素の発現を確認した。発現産物は不溶性顆粒となったため、6M塩酸グアニジンに可溶化後、ヒスチジンタグを利用したアフィニティーカラムで生成後、巻き戻し操作を行い、二次構造の形成を円偏光二色性、蛍光測定により確認した。巻き戻しにより可溶化されたホスホエノールピルビン酸炭酸化酵素は核磁気共鳴スペクトルの測定により活性を示すことが確認された。紅色光合成細菌で二酸化炭素の固定反応を行っているルビスコについては酵素活性を核磁気共鳴法により解析する手法を開発するとともに、酵素の巻き戻し過程を検討し、最適条件を見出すことに成功した。
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