研究概要 |
本研究は単一細胞レベルの空間で、細胞内分布、時間変化モードの二つの視点でCa^<2+>濃度を精密に制御できる実験系を開発することを目的としている。今年度は、次の項目を実施した。 1.マルチチャンネル型キャピラリー先端形状の精密制御:3チャンネル型キャピラリー、2チャンネル型キャピラリーいずれもプラーの加熱条件(加熱力,引張力)を変えることにより,先端形状を制御することが可能であった。特に、2チャンネル型はレーザー式プラーを用いることで、先端直径1μm以下、先端から50μmでの外形を10μm以下にすることができるようになった。しかし、再現性という点では問題が残った。 2.マイクロ水滴を用いた導入量制御実験:Ca^<2+>濃度は蛍光色素(Flou-3)を用いた定量法を採用するため、あらかじめ蛍光強度の定量的解析システムを構築する必要がある。その予備実験として、オリーブオイル中に直径50〜100μmの水滴をキャピラリーを用いて形成し、その水滴中に蛍光色素ルシファーイエロー(LY)を電気泳動的に導入した。その結果、電圧の印加に伴ってLYが導入され、停止すると、すぐにLYの導入も停止した。また、その導入量は電圧の印加時間と印加する電圧の強さに依存した。 以上のことからマイクロ水滴中にLYを定量的に導入することが可能となった。
|