研究概要 |
CO_2を人工的に固定する新しい方法の一つとして生体触媒(酵素)と光触媒粒子を組み合わせた複合反応システムを考案した。CO_2固定用酵素として採用した蟻酸脱水素酵素(FDH)は通常(HCCOH→CO_2+2H^+)の反応を触媒する。しかし、NADHの過剰存在下ではこの逆反応を触媒するとので、(CO_2+2H^+→HCOOH)の反応により、CO_2を蟻酸に転換できると期待した。そこで、NADHの過剰状態を作り出すのにはメチルビオロゲンの還元型MV^<2+>を犠牲剤としたリポアミド脱水素酵素(DAH)の逆反応を利用した。また、MV^<2+>の還元にはTiO2粒子の光触媒反応を利用した。 DAHとFDHによる逆反応は、目論み通りNADH,MV^<2+>過剰条件下でそれぞれうまく進行するが確認できた。さらに、その定量的検討結果からDAHとFDHの最適酵素比を速度論的に解析し、その妥当性を実験的に確認した。また、MV^<2+>は水を犠牲剤とした光触媒反応で効率よく還元できることが確認できた。 最終的に、水を原料に、H_2O(TiO2微粒子+光)→MV^+(DAH)→NADH(FDH)→(CO_2+2H^+→HCOOH)の反応回路が期待通りに進行することが確認できた。
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