研究概要 |
二次元架橋網目の弾性挙動を測定するため,Langmuir-Blodgett膜作製装置を自作した.また,併せて二次元高分子網目の合成にも着手した.合成では網目高分子の前駆体である4級アミンモノマーまでの合成を完了した. 二次元網目系の弾性挙動との比較のための三次元綱目系の弾性挙動についての解析をおこなった.この解析には,これまで報告されている種々のエラストマ一の一軸および二軸変形下での弾性挙動についてのデータを用いた.大変形下での弾性解析は有限変形理論を用い,変形の小さい領域での弾性解析には微小変形理論を用いた.また,これらの弾性挙動の解析はひずみエネルギー密度関数(W)を用いて行った.Wのひずみテンソルの第一不変量(I_1)と第2不変量(I_2)に関する導関数はそれらの関数となるものの不変量に対する依存性は極めて弱いことがわかった.一方,微小変形領域では,それらの導関数は不変量の変化に敏感であり,ひずみが0の近づくにつれて導関数は急激な変化を示すようになることがわかった.通常の弾性解析では,変形による網目の体積変化を無視している.今回得られた結果は,変形の小さい領域での弾性挙動の解析では綱目の体積変化が無視できないことを示しているのかも知れない.
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