航空宇宙推進エンジンの作動異常を引起こす原因に、内部流動の不安定現象を挙げることが出来る。その場合、旋回失速やキャビテーションに代表されるように、多くが渦や気泡の発生を伴い、擾乱が非線形的に成長する過程が観察される。従って、この非定常状態を圧力センサなど何らかの検出方法により時系列データとして取得できれば、現象のメカニズム解明に役立つばかりか、異常予知と危険防止が可能となる。 本研究は、このような不安定現象の認識と制御のために、カオス理論に基づく時系列データ処理を実施し、相図アトラクターや相関積分という新しい物理量を用いて、従来とは異なった視点から圧縮機の旋回失速とポンプキャビテーション発生の課題ヘアプローチを試みた。 その結果、導入した新しい物理量が極めて有効であり、単に周波数分析を通じて得られる結果に比べて、高度な情報を提供する事が実証された。
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