研究概要 |
本年度は,以下のような成果を得た. 1.キャビテーション気泡雲を観察・撮影するために,従来の大型圧力容器を改良した.圧力容器の相対する側面にストロボ用およびカメラ用の窓を設け,閃光時間が1.1μsecのストロボをカメラと同期させることにより,環境圧力が12MPa(水深1200m)までの水中ウォータージェットにより生ずるキャビテーション気泡雲の瞬間写真撮影に成功した。 2.従来のストレートノズルとホーンノズルについて環境圧力が12MPaまでのキャビテーション気泡雲の観察を行った.その結果,(1)ノズル出口から生じたキャビテーション気泡雲は半径方向に成長した後ある長さで一旦消滅し,更に下流側で再びより小さな気泡雲として現れる.両ノズルとも,この気泡雲領域長さは環境水圧とともに小さくなる.また,高環境圧力ではストレートノズルの気泡雲領域の方が長い.(2)気泡雲領域長さから気泡雲の発生周期をストレートノズルについて求めると,従来の環境圧力とともに高周波側に移動する衝突力スペクトルのピーク周波数とほぼ一致した.従って,衝突力スペクトルのピークはキャビテーション気泡雲の周期的衝突によって生じていること,ならびにキャビテーション気泡雲の周期的衝突が水中ウォータージェットの切削性能と直接関係していること,などが明らかになった. 3.8種類の内面構造を有するノズルを設計・製作した.来年度は,これらのノズルのキャビテーション気泡雲の観察と切削性能評価を行う.
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