「完全人工授精法」の開発に先立ち、本年度は精巣でのエクジステロイド合成機構について検討した結果、および卵巣の培養装置作成と運転結果について報告する。 精巣エクジステロイド合成機構の解明実験では、(1)ラベルエクジステロイドの取り込み実験を行い、精巣は外的エクジステロイドを取り込み、代謝している事を明らかにした。(2)各種物質の作用実験から、精巣では独自のエクジステロイド合成機構は無いものと結論した。しかし、cAMPによる糖質代謝に関しては検討できなかった。 一方、卵巣培養系確立のため、培養装置の検討を行った。(1)ディスポーサブル注射器に濾過フィルターを装着し、空気補給の為にエアポンプを接続した。(2)間歇的に空気補給をするために間歇オンオフタイマーを装着し、連続運転条件を検討した。(3)培養液はGrace's culture medium を用いた。(4)培養装置を小型化するために、装置を設計した。(5)培養装置全体を恒温培容器に導入し、連続運転実験を行った。全体的に装置やその運転は満足のいける結果となったが、実際卵巣を培養すると機械的な刺激により卵巣自体が損傷を受ける結果となった。従って、卵巣培養時では物理的な刺激を如何に解決するかが今後の検討課題となった。また、空気の間歇的な補給と培養液中のタンパク質との関係についてアルブミンを用いて検討した結果、バブル(泡)を如何に少なくするかの検討課題が残された。
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