研究概要 |
「完全人工授精法」開発の一環として、本年度は精巣での糖代謝について検討した結果および卵巣培養装置改良と培養実験結果について報告する。 精巣糖代謝の実験では、(1)5齢0日目より羽化直前までの精巣グリコーゲン含量を測定した結果,吐糸期以後急激に含量が低下することが判明した。(2)糖代謝に関与する酵素活性を調査した。トレハラーゼ活性は5齢初期には検出できなかった。恐らく膜結合型であったためと考えている。フォスフォリラーゼ活性については,吐糸期から急激に活性は上昇しグリコーゲンの消長とほぼパラレルに活性は推移した。 卵巣培養系確立のため、昨年度試作した培養装置の改良を行った。基本的には昨年度開発した装置の空気サプライを穏やかなものに変更した。また,培養皿は6穴のディスポーサブル培養皿に変更した。培養液はGrace's culture mediumに卵巣由来タンパク質やEcdysteroidを添加した。培養装置全体を恒温培養器に導入し、卵巣連続振とう培養実験を行った。全体的に装置やその運転は満足いく結果となった。昨年度のような機械的な刺激により卵巣自体が損傷を受けることは解消できたが,卵巣は一切発育しなかった。卵巣皮膜を機械的に破り,卵管が突出した状態で培養を開始し,12日間培養を続けた。一部卵管の伸張は観察されたが,卵殻形成や卵黄タンパク質の取り込みは観察されなかった。
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