この研究は、還元的条件の土壌中で16SリボソームRNA遺伝子のクーロンとして検出された微生物の遺伝子構成の解明と培養を試みるものである。本年度は研究の第一年度目として、遺伝子として検出される第4ドメイン生物の濃縮法をマグネチックビーズにこの微生物の16SrRNAの特異配列に相補的な蛍光ラベル合成DNAをストレプトアビジンとビオチンの親和性によって付着させ、このビーズを用いてターゲット微生物が濃縮できるかどうか検討した。この方法はこれまでに一度も報告されていないため、実際の実験に先立ち大腸菌を用いたモデル実験で確認を行った。この結果、大腸菌では濃縮が可能であることが判明し、次に第4ドメイン生物の濃縮を行った。ターゲットとした生物がビーズに結合することは確認されたが、土壌1グラム当たり10^5程度の密度でしか存在しないため、回収される細胞はごく少ないという問題が生じた。現在、第4ドメイン生物を大量に濃縮する方法を開発するいろいろな試みを行っている。細胞の分離と培養の試みとは別に、蛍光ハイブリダイゼーション法による第4ドメイン微生物の土壌中での観察も試み、球形の細胞だけが蛍光染色されることが確認された。また、細胞数は1グラム土壌あたり10^5であり、クローン分析による結果と近い値で計数された。蛍光染色される細胞は非常に蛍光強度が強く、第4ドメイン生物は土壌中で活発に増殖していることが示唆された。
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