研究概要 |
1.本研究は、農山村の伝統的な豊かなストックとしての環境の崩壊について、本来持っていた農業・農村の環境保全システムの再構築を行い、豊かな田園居住環境の持続的な環境保全型農村集落のための土地利用計画を含めた、新しい維持・管理システムの構築について明らかにすることを目的とする計画研究である。 2.初年度の今年度は,屋敷+農地+山林(屋敷林、平地林、里山)の生産+生活ユニットに視点を置き、典型的な過疎山村の秋田県皆瀬村における中ノ台、上生内、沖ノ沢の3集落を中心に事例調査を実施した。 3.実施の方法は、役場の協力を得て既存資料や現地踏査、及び住民との座談会など実施し、集落が抱えている全般的な問題や課題を明らかにした。 4.屋敷については、離村者の廃屋問題、茅葺き民家の維持、豪雪地帯の問題や課題を明らかにした。農地と山林については、住民基本台帳による家族型構成の把握、農家台帳より農地所有状況の把握、森林簿より山林の所有形態の把握を行い、家族型の将来予測を基に、持続性可能な農地と耕作放棄地の可能性などの検討を行い土地利用の将来予測における属人と属地的な問題点を明らかにする詳細検討の方法を検討した。このことを踏まえて、屋敷+農地+山林の新たな維持・管理システムについて今後の課題を検討することができた。 5.また、この他に新たな維持・管理システムを考え出すために、優良事例の横浜市の港北ニュータウンの里山や埼玉県三芳町上富新田の典型的なユニットの里山の維持管理作業事例、及び静岡県豊岡村での農地・里山の環境学習活用なども事例調査として実施した。
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