研究概要 |
一夏で大きく生長する,ヒマワリ,ケナフ等を対象に,接地抵抗が生長とともにどのように変化するかを調べた.ところが,継続的に測定を行ってみると対象は確かに生長し続けているのに対し,接地抵抗の変化は必ずしもそれに追従しないことのあることが分かった.その理由としては,根の発達状態が同じでも大地の水分量が変化すると,接地抵抗もその影響を受け変化するためと考えられた.このため,同時に大地比抵抗も測定し,根の接地抵抗値に対して補正を施すことを行った.さらに,補正された値をそれと同じ値をもつ金属円板電極の半径に換算して,等価半径という形で根の発達状態を評価する方法を考案した(特許出願).植物の根の等価半径だけでは大小の相互比較しかできないので,全体の生長とどのような関係をもつのかの指標として,茎の半径との比をとることを考えた(半径比とよぶ).電磁気学的検討によれば,植物を単純に一様な抵抗率をもつ導体と仮定すれば,半径比は1より大きくなる.半径が大きければ大きいほど,同じ茎の太さに対しては根がよく発達しているということができる.この評価によると,接地抵抗の測定が可能となる(10kΩ以下)茎の太さ(半径1cm以上)以上では,ヒマワリ,ケナフ,アマランサスについて約0.3から0.8の範囲にあり,1以上にはならなかった.共通的な性質として,ある程度生長した後(茎径の大きさで評価)では半径比がほぼ一定か,やや減少傾向がみられた.特にケナフは秋になってから背丈の伸びが顕著であるが,半径比にはむしろ減少がみられた.半径比が1より低くなる理由としては,茎の内部に電気抵抗の高い部分が存在し,茎の横断面全体が円板電極の有効面積として効いていないためと考えられた.また,根は土から水分を吸収しても,放出しない機能を有しているのでこの生体のバリア組織が電気的に根のインピーダンスを高くしているのではないかと推測された.
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