アクアポリンは生体膜の水チャネルで、水、グリセロール、尿素などの低分子の生体膜通過に関与する膜蛋白質である。原核生物から動物、植物にまで普遍的に分布し、多種のアイソフォームが体の様々な部位に様々な程度に発現しているが、その生物学的な役割については不明の点が多い。アクアポリン3(AQP3)は尿に接する腎盤、尿管、膀胱、尿道などの尿路上皮、体表を覆う表皮をはじめとする重層扁平上皮、上部と下部の消化管上皮、鼻腔から気管支に至る気道上皮などの細胞に発現していた。その局在部位を、凍結準超薄切片/CCDカメラ蛍光顕微鏡を用いて詳細に観察した。その結果、重層上皮では、基底部から中間層の細胞の細胞膜、単層上皮では基底側壁部細胞膜に局在した。ナノゴールドプローブを用いたプレエンベッディング免疫電顕法により、これらの細胞の部位細胞膜に局在するのが確認された。外気や尿に接する表層の細胞や頂部細胞膜にはAQP3の分布は認められなかった。MDCK細胞では、高浸透圧処理により、AQP3の発現はまずメッセンジャーレベルで、ついで蛋白レベルで増加した。この場合もナノゴールド免疫電顕法により、基底側壁部細胞膜にAQP3は局在した。
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