本研究ではMDEG1陽イオンチャネルに人工的な点変異を導入し、この陽イオンチャネルが開いたまま閉じない状態を作り出し、このgain of functionの特殊なチャネルをトランスジェニックマウスに発現させて、味覚障害や神経変性症のモデル動物を作成することが目的である。 まず最初に最も効果的なミューテーションを作成するために、MDEG1の430番目のグリシン残基をPCR法を用いて様々なアミノ酸に置換した。さらにMDEGイオンチャネルの他のサブユニットとしてMDEG2を味蕾から単離し、このサブユニットにも人工的な点変異を加え、こそれぞれの変異遺伝子を様々な組み合わせでアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて、ボルテージクランプ法により点変異イオンチャネルの特性を解析した。 この解析の結果、MDEG1の点変異クローンのうちで、430番目のグリシン残基をフェニルアラニンに変異したものが最も大きなカチオンによる電流を流すことが、明かとなった。またこの電流は本来の野生型とは異なりプロトンの刺激無しでも流れることが明かとなった。さらにMDEG2の同部位での点変異ではMDEG1のミューテーションとは異なり、プロトンに対する応答の脱感作の部分に影響を与えることが明かになった。 次にこれらのMDEG陽イオンチャネルのゲノムをスクリーニングしこの遺伝子の上流のエンハンサープロモーター領域の解析中である。
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