研究概要 |
目的:出生時低体重が成人時の高血圧、肥満などの発症と因果関係を示すことが疫学的な研究により報告されている(Bonita Falkner et al.Hypertension,1998;31:145-150)。しかし、出生時低体重ラットを用いた高血圧発症モデルの確立、あるいはその機構解明に関する研究は未だない。 本研究の目的は、出生時低体重がどのような仕組みで高血圧発症に結びつくのかその神経性動脈圧調節機構の変化について検討することにある。 方法:妊娠ラットを低タンパク質食で飼育し、その仔を出生時低体重にする。後、出生時低体重ラットが成熟する過程で食塩負荷を行い高血圧発症機構について検討加えた。 ラット飼育の飼育・出生時低体重ラットの作成 Wistar系ラットを用い、妊娠させた後、5%タンパク質食(低栄養)を与える。コントロールとして10%タンパク質食を与える。出生後は一般固形食を自由摂取させた。 ラットに慢性的に動脈圧測定、心拍数、腎交感神経活動測定用のプローブおよびカテーテルを留置する。後、ラットを代謝ケージに入れ3日間のコントロール期の後、7日の食塩負荷(0.9%NaCl水を自由摂取させる)、4日の回復期について下記の項目について実験を行った。 結果:安静時の動脈圧は、出生時低体重ラットと正常ラットの間に差は無かった。しかし、出生時低体重ラットに食塩を負荷すると、負荷後3日以降有意に動脈圧が上昇し(15mmHg,p<0.05)、高血圧になることが判明した。現在、水分およびナトリウム出納を計測し、高血圧発症と腎臓での電解質・ナトリウム・水分ハンドリングの関係について検討を加えている。
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